佐賀の空から桜島の噴煙が見えた

佐賀の空から桜島の噴煙が見えた / 千住 勇夢

空に浮かび風の流れに乗って景色を眺めると、空の色は千差万別だといつも思います。
日によって様々な美しい色を見せてくれますが、そうした中でも特に美しい現象のひとつと、その中でも驚いた出来事を御紹介します。

主に12月から1月の穏やかな日の朝には、逆転層という現象がよく見られます。
通常は上空に上がるほど気温が低くなるのですが、放射冷却によって地面がより冷やされたときに、上層の方が温かくなる部分ができる現象です。

こうなるとモヤが低層に閉じ込められ、逆転層の境界より上は澄み切った視界が開けます。
その境界には一本の水平な美しい線が現れ、その上に出ると雲海の上に出たような光景が広がります。通常は天山や脊振山より高い、高度約1,100mより上に現れるようです。

遠くを見れば雲仙や阿蘇山、九住山の峰が雲上に尽き出たようにクッキリと見えます。

2013年の1月20日も晴れ渡って穏やかでしたので、この逆転層上の雲海が見れるチャンスと思い、層上に出るべくドンドン高度を上げていきました。
この日はこれまでにないほど逆転層境界の高度が低く1,000m以下で層上に出ると、いつもは逆転層より下層に埋もれている天山や脊振の山頂も突き出ており、いっそう美しい光景が...。

通常、上層は風が速いことが多く、のんびりしていると有明海に出てしまいかねないので、物見遊山もホドホドにし、速やかに降下するのですが、この日は上層もゆっくりしており、落ち着いて景色を楽しむことができました。


(雲仙・多良岳を望む)

いつもは注意して見ない雲海の線の奥まで眺めていますと、不思議なものが見えることに気付きました。
雲仙の東側の遥かな奥に、立ち上る煙のような雲が見えます。上空1,000m以上にまで上がる煙など考えられないのですが、
全体の景色の美しさの他には深く注意は注がれず、「なんだろう?」という気付きだけで、その場は終わり、地上へと降りて行きました。

気球を片づける間にも、美しい光景のことをクルーの皆さんと語り、不思議な煙のことは忘れていましたが、帰ってから「あれは何だったんだろうか?」と気になり、撮った写真を元に、その煙の方角に何があるのかを調べてみました。

人間の眼は素晴らしいもので、肉眼ではハッキリ捉えていた煙も、やや型落ちのデジカメではわずかにぼんやりと写っていた程度でしたが、煙の位置が分かるくらいには写っていました。
雲仙から煙までと、多良岳から雲仙までの比率は5:28。地図上でその比率の角度の延長線上にあるのは、、

「あっ!桜島か、、」。

しかし、うーん、佐賀で気球に乗ってて桜島が見えたというのは聞いたことがないし、思ってもみなかった、、。さらに調べると、この期間は桜島の噴火活動も活発であったようでした。

煙は雲仙の山頂よりも低い位置に写っていますが、地球の丸さを感じさせます。また、この日はタマタマ、逆転層境界の高度が通常よりかなり低かったので、見えたのでしょう。

また、この日は私の約2年ぶりのフライト。仕事で精神的に疲れて長く飛ぶことができておらず、機体管理の必要上で、久しぶりに飛んだのでしたが、「飛ぶことを辞めてはいけない。」と、励まされたような気がしました。

[寄稿] 千住 勇夢 / 佐賀バルーンフェスタ組織委員会 委員

最終更新日 2015年12月04日

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